改めて知っておきたい、地球温暖化の今 ~後編~



 

前回の記事では、

地球温暖化に関する基礎的な知識や現状についてご紹介しました。

今回は、地球温暖化の直接的な影響だけでなく、

社会や経済に間接的にどのようなインパクトを与えるのか

について触れたいと思います。

なぜ地球温暖化が世界共通の課題とされるのか、

ご理解のヒントとなれば幸いです。

 

極端な気象が生み出す不平等

 

地球温暖化が台風や豪雨だけでなく渇水をも引き起こすことは、

前回の記事でご紹介した通りです。

下図のように、

世界各地でもハリケーンやサイクロンが発生する一方で、

干ばつが起こるなど極端な気象現象が確認されています。

 

(画像出典:全国温暖化防止活動推進センター

 

こうした極端な気象現象は、

先進国よりも発展途上国に対して深刻な影響をもたらすとされます。

例えば、温暖化による海面上昇の影響を真っ先に受けるのは、

小さな島国です。

 

しかし、温暖化を引き起こす二酸化炭素を多く排出してきたのは

主に先進国です。

先進国が化石燃料を使った結果、

その“しわ寄せ”が途上国に押し寄せる

不平等な構図が生まれてしまっています。

 

さらに、温暖化は私たちの子どもや孫といった

将来世代に“ツケ”を回すことにもなります。

前回の記事では、

2100年の気温が最悪のシナリオで約4.8℃上がるという予測をご紹介しました。

今から約80年後といえば、私たちの孫の世代ではないでしょうか。

 

地球温暖化の問題は、

このような“しわ寄せ”や“ツケ”という不平等を生み出す点にあります。

 

「異常気象」は経済にとっても大きなリスク

 

さて、上図の下の方には

「異常気象による被害額と保険支払額の推移」

というグラフが掲載されています。

金額が大きくて実感がわきにくいですが、

増加傾向にあることが確認できますね。

 

このグラフから、

温暖化による異常気象が保険会社のリスクであることがわかります。

保険支払額が増えると経営にダメージを与えかねないからです。

 

保険世界大手のチューリッヒグループが世界経済フォーラムと発行した、

リスクに関する報告書でも

「異常気象」がもっとも発生の可能性が高いリスクとされています。

 

(出典:世界経済フォーラム『第16回 グローバルリスク報告書 2021年版』)

 

この報告書は2021年版ですが、

2017年から5年連続で「異常気象」が1位を占めています。

「異常気象」が経済にとってどれほど大きなインパクトであるかがよくわかりますね。

 

そのため、世界の保険会社は地球温暖化を重大なリスクのひとつと捉え、

温暖化を食い止めるための行動を起こしています。

 

世界各国の保険会社や銀行などは、

二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電所への資金の提供を

ストップするようになってきました。

これを「投資引き揚げ(ダイベストメント)」といいます。

 

ダイベストメントは国内のニュースでも話題になることが増えてきましたが、

今後ますます広がっていく動きだと思われます。

「隠れたコスト」の重要性を知ろう

 

 

こうした“しわ寄せ”や“ツケ”を解決するには、

まず、起こっている問題を認識することが第一歩です。

 

そのうえで、

懸念されるリスクをコストに反映することが重要だとされています。

というと難しく聞こえますが、

いわゆる「安いものにはワケがある」という、

そのワケをきちんと計算すべきだということです。

 

そうすれば、不平等を生み出す可能性の高いものは高コストとなり、

その結果、それを選ぶ人が減ると考えられます。

 

この反映されていないコスト「隠れたコスト」や「外部コスト」といいます。

「隠れたコスト」は正確な予想が難しいうえに、

今は明らかになっていないリスクが将来判明する不確かさもあります。

そのため計算するには大変な困難が伴うのですが、

とても重要な作業です。

「隠れたコスト」の小さい再生可能エネルギー

 

 

エネルギーに関する「隠れたコスト」については、

前回ご紹介したIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が

報告書を発行しています。

また、ヨーロッパでは1990年代のはじめから研究が始まっているほか、

アメリカでも多くの報告書が発表されています。

 

このIPCCの報告書では、

太陽光や風力といった再生可能エネルギーの方が、

石炭などの化石燃料よりも「隠れたコスト」が低いとされています。

世界が再生可能エネルギーへシフトしている理由のひとつが、

まさにこの点にあります。

 

つまり、再生可能エネルギーは、

途上国や将来世代に“しわ寄せ”や“ツケ”を回すことがより少ないことが、

データとして算出されているのです。

 

こうした背景は日本では報道されることが少なく、

なんとなく「クリーン」というイメージが先行している印象を筆者は受けます。

しかし、多くの機関がエネルギーの「隠れたコスト」についての研究を行い、

その結果、再生可能エネルギーがもっとも合理的だ

という結論に達したということを、

みなさんにも知っていただきたいと思います。

 

(参考:環境省『IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 再生可能エネルギー源と気候変動緩和に関する特別報告書』、ExternE – External Costs of Energy

 

日本でのエネルギーの「隠れたコスト」はどうなっている?

 

(画像出典:経済産業省 資源エネルギー庁

 

さて、日本でのエネルギーの「隠れたコスト」の検証は

どのような状況でしょうか?

ちょうど先日、経済産業省で発電方式ごとのコストの算出が行われました。

これは、2015年以来約6年ぶりの発電コストの算出となりました。

 

今回の算出の目的は、

あくまで発電方式ごとのコストの傾向を掴むためとされています。

そのため、立地条件といった個別の条件は加味されておらず、

モデルケースによる試算となっています。

 

上図の真ん中の棒グラフでは、

「政策経費」「社会的費用」などが積み上げられ、

発電方式ごとのコストが算出されています。

少し専門的かもしれませんが、

私たちはこれらの経費に含まれていない

「隠れたコスト」がないかどうかを

チェックできるようになるべきではないでしょうか。

 

最後に

 

 

今回は少し専門的な内容となりましたが、

地球温暖化を理解するのに大切な考え方をご紹介しました。

 

残念ながら「隠れたコスト」の検証に関しては、

日本は欧米より盛んではないようです。

私たちの暮らしを支えるエネルギーが

どこかに“しわ寄せ”や“ツケ”を回していないか、

私たち自身が気を配れるようになったら素敵だと思いませんか?

 

そうなれるように、これからもロスゼロブログの読者のみなさんと

一緒に勉強していけると幸いです!

 

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サステナブルライター山下 略歴

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

【実績】「RE JOURNAL(VOL.02)」「SOLAR JOURNAL(VOL.33)」「情報誌グローバルネット 2020年4月号」ほか

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