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長期保存に役立つ「真空スキンパック包装」とは? 保存の視点で食品ロスを考えてみよう

公開日: 更新日:2023.08.28
長期保存に役立つ「真空スキンパック包装」とは? 保存の視点で食品ロスを考えてみよう

 

こんにちは、サステナブルライターの山下です。

今回は、私がスーパーマーケットで見かけて気になった「真空スキンパック包装」についてご紹介します。

包装という観点から、食品ロスの削減にも役立つおもしろい取り組みです。

 

「真空スキンパック包装」って何?

ハーブと肉の塊

 

耳慣れない「真空スキンパック包装」という言葉ですが、実は身近な包装のひとつなのです。

空気を抜いてプラスチックフィルムなどで密着して包装することで、長期保存ができるようになるメリットがあります。

空気に含まれる酸素や微生物による酸化や腐敗を抑えることができるからです。

スーパーマーケットに並んでいるハムやベーコンなどは真空包装されていることが多く、みなさんも見かけたことがあるのではないでしょうか?

 

「真空スキンパック包装」は、ヨーロッパを中心に使われてきた包装の方法です。

台紙やトレーなどに食材を置き、上からプラスチックフィルムをかぶせて、専用の機械で空気を抜きます。

鮮度を保持しやすいことなどから、

近年、肉類の包装を中心にアメリカやアジアでも利用が増えているようです。

 

(参照:https://www.orikane.co.jp/orikanelab/7609/

 

鮮度長持ちで食品ロス削減に役立つ

真空スキンパック包装のメリットは、まず、空気に触れないことによって鮮度をより長く保つことができる点です。

肉や魚といった生鮮食品だけでなく、ハムなどの加工食品や惣菜の鮮度も長持ちさせることができます。

 

現在主流のトレーに食材をのせ、上からラップで包む包装では、肉や魚の消費期限は2日程度であることが多いようです。

真空スキンパック包装では、食材や条件にもよりますが、消費期限を3日以上延長できる場合もあります。

(実際に、筆者が先日買った真空スキンパックの鶏のムネ肉は消費期限が4日後でした。)

 

また、小売店などの売り手にとっては、消費期限が延長されることで売れ残りによる食品廃棄を減らすメリットもあります。

食品ロスの削減に役立つだけでなく、食品廃棄にかかるコストや売れ残りの値下げ販売なども減り、売り手側にとっても経済的なメリットも大きいといえるでしょう。

 

柔軟なディスプレイも可能に!

鮮度保持のほかにも、真空スキンパック包装にはいろいろなメリットがあります。

売り手側からみると、食材の色や形がくっきりとわかりやすくなり、

消費者においしさや魅力をアピールしやすくなるそうです。

また、これまでのトレーと異なり、縦や横にかたむけても水分がこぼれたりせず、ディスプレイのバリエーションも豊かになります。

同様の理由から、保存もしやすくなるのではないでしょうか。

 

我々消費者にとっては、食材がかさばらず冷蔵庫の中でも整理しやすいという点もうれしいメリットですね。

 

真空スキンパック包装のデメリット

氷の上の肉

 

デメリットとしては、スキンパックするための特殊な機械の導入コストが考えられます。

売り手側が真空スキンパック包装を導入する際には、食品廃棄コストの削減額や新たな設備の導入コストなどのバランスを考える必要があります。

包装の変更を商品価格に上乗せすることは、消費者にはなかなか受け入れられないでしょう。

 

また、消費者も新たな包装の仕方に慣れる必要があります

はじめは、肉や魚の形が浮き彫りになった真空スキンパック包装に驚くかもしれません。

破れたりしないのか心配になる方もおられるかもしれませんね。

しかし、真空スキンパック包装は、とがった貝ややわらかいイクラなども安全に包み込むことができる優れものです。

普段のお買い物や保存で困ることは少ないのではないでしょうか。

 

個人的には、筆者は真空スキンパック包装によるゴミの増加を懸念しています。

これまでの発泡スチロールのトレーは、スーパーマーケットなどで回収・リサイクルが可能でした。

真空スキンパック包装に使われたプラスチックフィルムのリサイクルは難しい課題かもしれませんが、解決策が生まれるといいと思っています。

 

熟成による長期保存を可能に「発酵力 オイシ―ト」

さて、食品の保存という観点からユニークな製品を開発したスタートアップについてご紹介します。

明治大学農学部との産学連携による株式会社ミートエポックは、

微生物の力を使って肉や魚を熟成させるエイジングシート「発酵力 オイシ―ト」

の開発・販売を行っています。

 

肉や魚の熟成(エイジング)とは、発酵菌と呼ばれる微生物によってタンパク質が旨み成分であるアミノ酸へと分解される発酵熟成方法です。

芳醇な旨みが増し、食感ももっちりと変化し、熟成させる過程で食材の長期保存も可能となります。

 

ただし、特定の発酵菌だけをはたらかせる熟成はコントロールが難しく、失敗すると食材が腐敗してしまい、最悪のケースには食中毒を引き起こしてしまう恐れがあります。

 

そこで、エイジングに役立つ発酵菌の胞子を付着させたシ―トで、簡単に熟成肉や魚を楽しめるようにしたのが、株式会社ミートエポックです。

専用の熟成庫などがなくても、家庭用の冷蔵庫で安全・安心に熟成肉などをつくることができます。

 

これまでは、飲食店など向けの販売でしたが、2021年4月にクラウドファンディングで「発酵力 オイシ―ト」の一般販売を行ったところ、目標額の50万円を大幅に上回る170万円以上が集まりました

「発酵力 オイシ―ト」で5日間熟成させた肉や魚は旨みが増すなどの変化を感じたと8割近くの方が回答しています。

こうした斬新な製品の登場は、楽しみながら食品ロスを削減することにもつながるでしょう。

 

(参照:https://www.meatepoch.com/ https://camp-fire.jp/projects/view/377571

 

 

食品の保存方法を見直してみよう

トマト3つ

 

食品ロスの削減というと、食べきれる量だけ買う・つくるなどの取り組みがよく知られています。

しかし、食品を長持ちさせる保存方法も大切な取り組みのひとつです。

食品がいたみやすい夏場は特に、保存方法に気を遣いたいものです。

 

肉や魚だけでなく、野菜も保存方法によって長持ちさせることができます

例えば、キュウリなどは育った環境と同じように立てて保存することで鮮度を保つことができます。

キッチンペーパーなどで包み、乾燥させすぎないことも重要です。

キャベツは、養分が集まりやすい芯をくりぬき、水を含ませたキッチンペーパーをくりぬいた部分に当てて保存しましょう。

ちょっとしたコツですが、長持ちさせることができますよ。

 

ゴボウなど、そのままでは冷凍が難しい野菜でも、ささがきにしてゆでることで冷凍保存ができるようになります。

もちろん、冷凍庫がパンパンになる前に早めにおいしくいただいてくださいね。

 

まとめ

食品ロスを減らすには、包装や保存などさまざまな角度からの取り組みが必要

ということを改めて認識することができました。

食品ロスを削減しながら、ゴミや環境への負荷も同時に軽減し、経済的にも循環型の社会が実現できれば理想的です。

 

とはいえ、さまざまな課題が残されているのが現状です。

こうした課題をひとつひとつクリアしていくには、私たちひとりひとりが少しずつ意識を変えていくほかに方法はありません

小さな積み重ねが、いつか大きな波となることを信じて、一緒に頑張っていきましょう。

 

 

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この記事を書いた人

サステナブルライター 山下

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。