地域内循環で解決する、新しい「食品リサイクル」のお話



 

こんにちは、サステナブルライターの山下です。

 

食品関連事業者に食品リサイクルを義務付ける「食品リサイクル法」。

2024年までに達成すべき目標値が定められています。

食品関連事業者の中で達成率がもっとも低いのは外食産業ですが、

近年、新しい取組みが実を結びつつあります。

今回は、食品リサイクルについてわかりやすく解説します。

 

「食品リサイクル法」とは? わかりやすく解説

 

1999年に制定された「食品リサイクル法」。

正式名称は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」です。

食品リサイクル法の目的は、

製造業や外食産業といった食品関連事業者から出る食品廃棄物を減らし、

家畜のエサや作物の肥料としてリサイクルすることです。

食品リサイクル法とは、ゴミとして捨てられる食品を少しでも減らし、

循環型社会を目指すための法律 です。

 

 

事業者に食品リサイクルを義務づける

 

食品リサイクル法の対象には、一般家庭は含まれません。

 

食品製造や加工、

卸売や小売を行う事業者と

外食産業の事業者が対象です。

業種別に食品リサイクルの目標値が設定されています。

 

2024年までの目標値は、

食品製造業が95%、卸売業が75%、小売業が60%、外食産業が50%です。

 

それぞれの業種の直近の達成状況は、下記のとおり。

農林水産省ウェブサイト『食品リサイクルの現状』

 

 

業種によってばらつきがみられますが、

食品製造業はすでに目標が達成できています

 

一方、もっとも目標に遠い外食産業では、

より一層の取り組み強化が求められています。

 

「食品リサイクル・ループ」で地域循環

 

食品リサイクルを推進する取組みに

食品リサイクル・ループ」があります。

これは、食品関連事業者とリサイクル業者、

農業者の3者が協力する地域循環型モデルです。

 

実は、食品リサイクルのハードルのひとつに

食品資源を運ぶ際の問題があります。

 

リサイクルするには、

や飲食店で発生した食品資源(生ごみなど)を

専門のリサイクル施設まで運ばなければなりません。

 

しかし、運ぶ際には市町村へ届出が必要で、

手続きの手間や複雑さから

リサイクル拡大をはばむ要因となってきました。

 

食品リサイクル・ループは、この問題を解決するモデルです。

食品関連事業者とリサイクル業者、農業者の3者が共同でつくった

事業計画が農林水産大臣などに認められれば、

市町村への届出が不要になる仕組みです。

 

食品関連事業者から出た食品資源は、

リサイクル業者が肥料として生まれ変わせ、農業者が利用します。

そして、その農業者がつくった作物をふたたび食品関連事業者が

買い取るという循環が生まれるのです。

 

この取り組みは小田急グループなどで行われており、

徐々に全国に広がりつつあります。

 

 農林水産省『再生利用事業計画(食品リサイクル・ループ)認定制度の概要』

 

食品リサイクルでライバル同士がタッグ

 

食品リサイクルの取組み強化が求められる外食産業においても、

新しい協力関係が生まれています。

2020年8月には、

ライバル同士である外食チェーン5社が

食品リサイクル・ループを協力して進めるという

全国初の取組みがニュースなりました。

みなさんにもなじみのあるレストランばかりではないでしょうか?

 

8月3日、デニーズを展開する

セブン&アイ・フードシステムズ、

牛丼の松屋フーズ、

うどん店のトリドールホールディングス、

長崎ちゃんぽんのリンガーハットジャパン、

居酒屋のワタミが、

名古屋市内の5社38店舗について

食品リサイクル・ループの認定を受けたと発表しました。

 

飲食店で出た食品循環資源をリサイクル事業者へ運び、

ニワトリのエサに加工。

そのニワトリが産んだ卵を、

同じ飲食店が買い取るという循環システムです。

 

この取り組みは、

関係者が2019年4月から勉強会を重ね実現にこぎつけたといいます。

外食産業という舞台ではライバルの5社が、

リサイクルではタッグを組んだ好事例。

まさに日本初の快挙です。

名古屋を皮切りに、全国でこうした取組みが進むことを期待したいですね。

 

公益財団法人 Save Earth Foundation ニュースリリース『』全国初!外食5社連携による飼料化の食品リサイクルループが大臣認定を取得!

 

リサイクル義務のない消費者は意識が大切

 

消費者である私たちには、

食品リサイクル法のようにリサイクルを義務付け、

目標を定める法律はありません。

だからこそ、

私たちひとりひとりの食に対する意識がとても大切 です。

 

食品ロスとして捨てられてしまう食品の中には、

賞味期限を過ぎたものも含まれます。

ロスゼロブログの読者であれば、

賞味期限を過ぎても食べられることはご存知だと思います。

しかし、賞味期限を過ぎたら食べられないと思っている方も、

まだまだ多いのも事実

 

そこで、こうした意識を変えるために消費者庁が

ユニークなコンテストを実施しました。

 

2020年7月から募集されたのは、なんと「賞味期限の愛称・通称コンテスト」。

消費期限とまぎらわしい賞味期限にニックネームをつけることで、

期限を過ぎてもおいしく食べてもらい、

食品ロスを削減しようとする取組みです。

同時に「私の食品ロス削減スローガン&フォトコンテスト」も開催されました。

 

残念ながら著作権の都合上、

本ブログでご紹介することはできないのですが、

素敵な作品がそろっています。

ぜひ、こちらのリンクから入賞作品を味わってみてください。

食品に対する愛とユーモアあふれる傑作ばかりですよ。

 

消費者庁ウェブサイト『「「賞味期限」の愛称・通称コンテスト」及び「私の食品ロス削減スローガン&フォトコンテスト」結果

 

 

「世界食糧計画(WPI)」が2020年ノーベル平和賞に

 

 

新型コロナウイルス・パンデミックにより、

世界の食料事情は難しい局面にあります。

新型コロナによる経済の停滞は

食料の生産や物流にも影響を与えています。

世界には、現在約7億人が飢餓に苦しんでいるといわれており、

新型コロナの影響で2倍に増大することが心配されています。

以前にもまして今、

食品ロスの削減や食品リサイクルの大切さが注目されています。

 

2020年10月、

「国連世界食糧計画(WPI:World Food Programme)」が

ノーベル平和賞を受賞しました。

50年以上にわたり活動を続ける

WPIは世界最大の人道支援機関と呼ばれ

88ヶ国で1億人以上を飢餓から救っています。

WPIは、飢餓と密接な関係にあると主張しています。

飢餓が発生すると紛争になりやすく、

紛争が起こると飢餓になりやすいという悪循環に陥るのです。

 

つまり、平和のためには全員が食料を手にできる環境が必要だということ。

食品ロス削減や食品リサイクルの延長線上には、

こうした大切な背景があることも忘れてはいけません。

 

目指すべきは、事業者も個人も食品ロスや食品リサイクルに高い意識を持ち、

法律や制度にしばられなくても実践する社会です。

「私ひとりがやっても意味がない」という思い込みはナンセンス。

ひとりひとりの行動の積み重ねが大きなうねりとなって、

これまでも社会を動かしてきました。

「私たちなら絶対にできる」という信念をもって、

今年も食品ロス削減・食品リサイクルに楽しく取り組んでいきましょうね。

 

WPIウェブサイト『国連世界食糧(WFP)がノーベル平和賞を受賞 こくれんWFP事務局長のデイビッド・ビーズリーによる声明』

 

 

 

【山下ブログ】
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サステナブルライター山下 略歴

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

【実績】「RE JOURNAL(VOL.02)」「SOLAR JOURNAL(VOL.33)」「情報誌グローバルネット 2020年4月号」ほか

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