実は食品ロスとも関係が深い「再生可能エネルギー」のお話



 

こんにちは、サステナブルライターの山下です。

 

さて、今回は少し趣向を変えてエネルギーのお話です。

 

「再生可能エネルギー」と聞いて、みなさんは何をイメージしますか?

 

太陽光発電や風力発電を思い浮かべる方も多いかもしれません。

 

実は、再生可能エネルギーのひとつ

「バイオマス燃料」は、食糧問題と深い関係があるのです。

 

そもそも「再生可能エネルギー」とは?

 

最近よく耳にする「再生可能エネルギー」。

 

太陽光発電や風力発電が

再生可能エネルギーのひとつであることはよく知られています。

 

そもそも「再生可能エネルギー」とは、

自然に存在する枯渇しないエネルギーという意味です。

 

例えば、太陽光発電では太陽から降り注ぐ光を、

化学反応を利用して電気に変換します。

 

エネルギー源の太陽光は、雲にさえぎられることはあっても、

100年後などに尽きてなくなる性質ではありません。

 

風力発電も同じく、数十年後に風が消えてしまうということはありませんよね。

 

一方、再生可能エネルギーと対比される

「化石燃料」は、すでに枯渇が心配されています

 

「化石燃料」とは、石炭や石油、天然ガスといった限りある資源です。

 

専門機関による2019年のレポートでは、

石炭はあと132年、

天然ガスは51年、

石油はなんと、あと50年でなくなってしまうと予想されています。

 

(参考:関西電力ウェブサイト『エネルギーの現状 世界のエネルギー事情』)

 

再生可能エネルギーのメリットは、枯渇しないことだけではありません。

エネルギーを生み出すときに、

地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を発生させないのです

 

再生可能エネルギーと化石燃料が発生させる

二酸化炭素の量を比べてみましょう。

(出典:資源エネルギー庁ウェブサイト『「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点』)

 

グラフの下から3つが、石炭、石油、LNG(天然ガス)です。

二酸化炭素の排出量が突出して多いことがわかりますね。

 

ちなみに、このグラフでは

発電所がつくられて壊されるまでのすべての工程

発生する二酸化炭素の量を比較しています。

すべての工程とは、発電所の建設から始まり、

使われなくなって解体されるまでの一連の流れ。

 

これは人の一生にたとえて「ライフサイクルCO2」と呼ばれ、

二酸化炭素を計測する一般的な方法です。

 

太陽光などの再生可能エネルギーでも

微量の二酸化炭素を排出しているのは、こうした集計方法によるためです。

 

「バイオマス燃料」は再生可能エネルギーのひとつ

 

バイオマスとは、太陽光や風力と並ぶ再生可能エネルギーのひとつ。

今回は、食料と関係の深い「バイオマス燃料」について解説します。

 

そもそも「バイオマス燃料」とは、動植物から生まれた資源です。

 

木のクズやわら、生ごみなどの食品廃棄物などが含まれます。

石油や石炭のように枯渇しないことに加え、

燃えても二酸化炭素を増やさない点が注目されています。

 

燃料となる木が育つ間に吸収してきた二酸化炭素の量と、

燃やして発生する量が同じであるため、

大気中の二酸化炭素量を増やすことがないとされています。

 

では「バイオマス燃料」には、どのようなものがあるのでしょうか?

 

サトウキビを蒸留・発酵させてつくるバイオエタノール

ナタネ油や使用済みの揚げ物油を原料としたバイオディーゼル

家畜のフンや生ごみから出るバイオガスなどがあります。

 

また、植物油脂の原料となる

パームオイルを絞ったあとのヤシガラ(PKS)も、

主要なバイオマス燃料です。

 

「食料 VS 燃料」のジレンマ

 

植物由来のバイオマス燃料は、

二酸化炭素の排出量を増やさない点で環境に貢献するとされています。

しかし、同時に食糧問題と表裏一体でもあるのです。

 

バイオマス燃料として利用されるサトウキビやトウモロコシは、

食料でもあります。

 

つまり、食べられるものを燃やして発電しているのです。

 

バイオマス燃料として使いすぎてしまうと、

食料に充てる量が減り、

食糧問題につながる可能性が心配されています。

 

バイオ燃料としてのサトウキビやトウモロコシの人気が高まると、

取引価格が高くなります。

 

取引価格が上がると、

特に所得が低い国や地域では十分に買うことができず、

食糧が足りなくなる問題も指摘されています

 

(参考:Wikipedia『食料 VS 燃料』

 

木材からつくられる木質ペレットは今、

バイオマス燃料としての人気が高まっています。

 

しかし、南米などでは

木質ペレットを大量に生産するために天然林の伐採が広がっています

 

天然の湿地林などが伐採されてしまうと、生態系に悪影響を及ぼします。

「環境にやさしい」とされるバイオマス燃料が、

逆に自然を破壊するという矛盾を引き起こしている可能性があるのです。

 

また、日本から遠い南米などから輸入すると、

輸送する船の燃料などでより多くの二酸化炭素を排出してしまいます。

 

ライフサイクルCO2の観点で考えたとき、

本当に排出量が少ないのかどうかは、改めて考える必要があります。

 

(参考:FoE Japan『プレスリリース:環境NGOグループ、大規模バイオマス発電の中止を求める共同声明発表「生物多様性を脅かし、気候変動を加速させる」』)

 

 

地球温暖化は、エシカルな問題とつながっている

 

今、世界は地球温暖化や気候変動といった問題に大きく注目しています。

 

こうした問題は、なかなか身近なものとして感じにくいかもしれませんが、

日本に住む私たちも知っておきたい大切なものです。

 

地球温暖化は現在すでに進行しており、

産業革命からの世界の平均気温は約1℃上昇しています

 

たかが1℃と考えがちですが、

実は私たちの身の回りでも影響があらわれています。

 

例えば、お米が実りにくくなったり、

リンゴやミカンの質が下がったり、

沖縄のサンゴ礁の白化が確認されています。

 

気温上昇で海面が1m上昇すると、

海抜の低い京阪神地区や首都圏の多くは浸水する可能性があります。

 

実は、地球温暖化は世界のエシカルな問題とも密接な関係があります。

 

温暖化の原因となる二酸化炭素を多く排出しているのは、我々先進国です。

しかし、気候変動による異常気象や海面上昇で

被害を受けやすいのは途上国だといわれています。

 

東南アジアでは熱波や台風が威力を増し、

アフリカなどの乾燥地域では干ばつが増える可能性が指摘されています。

太平洋の小さな島国では、島そのものが沈んでしまう危機にあります。

 

こうした被害を受ける途上国では、所得の格差が拡大し、

貧困問題が深刻化する恐れも十分考えられます。

 

地球温暖化は、私たち日本が出した二酸化炭素が、

遠く他の国に悪影響を与えるリスクをはらんでいるのです。

 

今の便利な生活が、

世界のどこかで誰かの犠牲によって成り立っているとしたら、

私たちは暮らし方を見直す必要があるでしょう。

 

ひとりひとりができることから始めれば大きな流れとなって、

世界をよい方向に変えていけるはずです。

 

まとめ

 

悲しいことに、世間では今「グリーンウォッシュ」が増えつつあります。

「グリーンウォッシュ」とは、

環境にやさしいというPRだけで、中身が伴っていない商品のことです。

 

大切なことは、物事のある一面だけを見て判断するのではなく、

背景や影響まで学ぶことではないでしょうか。

 

私たちが食糧問題や環境問題について知識を深めれば、

おのずと日々の行動に現れるはず。

 

ぜひ一歩踏み出して、学ぶことを習慣にしてみてくださいね。

 

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サステナブルライター山下 略歴

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

【実績】「RE JOURNAL(VOL.02)」「SOLAR JOURNAL(VOL.33)」「情報誌グローバルネット 2020年4月号」ほか

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