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日本でも昆虫は食べられていた?どの種類の昆虫がおいしい?

公開日: 更新日:2023.11.13
日本でも昆虫は食べられていた?どの種類の昆虫がおいしい?


こんにちは、サステナブルライターの山下です。


最近、大きな話題を呼んでいる「昆虫食」。
その名の通り、虫を食べることです。


「虫を食べるなんてありえない」「気持ちが悪い」と思う方も多いかもしれません。


しかし、日本では古くから虫を食べる文化が根付いてきました。
そのことを考えると、そこまで突拍子のないことでもないのかもしれません。


今回は、なぜ今、昆虫食が話題になっているのか、虫を食べるメリットやデメリットについてご紹介します。



日本の昆虫食とは?

食器とフォークスプーン


日本では、長野県の郷土料理として「イナゴの佃煮」がよく知られています。
もしかしたら「小さい頃に食べたことがある」という方もいるかもしれませんね。


ほかにも、クロスズメバチの幼虫である「蜂の子」を食べる習慣もあります。


お隣の韓国にも、蚕のさなぎを蒸して味付けした「ポンテギ」という食品があります。


このように、実は、昆虫食は世界中で広く行われているのです。


国連食糧農業機関(FAO)によると、全世界で2,000種類近くの昆虫が食用にされているとのことです。


なぜ、昆虫を食べるのでしょうか?


その理由は、昆虫の高い栄養価にあります。

昆虫は、意外なことに良質のタンパク質を多く含み、脂肪分が少ないのです。


そのため、昔は貴重なタンパク源として昆虫を食べることが多かったとされています。


実際に、日本で昔から食されてきた「イナゴの佃煮」「蜂の子」は、海から遠く離れた長野県や群馬県といった山あいの地域で多く見られます。

海産物の少ない山間地では、昔から昆虫を貴重なタンパク源として食べていたことがわかります。


参考)内閣府 食品安全委員会「国際連合食糧農業機関(FAO)、食品及び飼料における昆虫類の役割に注目した報告書を公表

農林水産省「うちの郷土料理:いなごの佃煮 長野県



昆虫食のメリット

大豆と大豆から出たもの


国連食糧農業機関(FAO)が2013年に発表したレポートによると、昆虫食には大きく4つのメリットがあるとされています。


そのメリットとは、

(1)牛・豚・鶏より少ない餌で同じ量のタンパク質が取れること

(2)丸ごと食べられ、捨てる部分がないこと

(3)育てるにあたって温室効果ガスの排出量がより少なくて済むこと

(4)狭い土地と少ない水で飼育できること

の4点です。


昆虫に豊富なタンパク質が含まれていることは先ほどご説明しましたが、そのほかにも、大部分が可食部で捨てる部分がないというメリットもあります。


ある意味で、昆虫食は食品ロスを生みにくい食品だと言えるかもしれません。


また、成長するのにたくさんのエサや土地、水を必要とする牛・豚・鶏と比べると、はるかに少ない資源で飼育することができます。

そのため、飼育にあたってCO2などの温室効果ガスの排出量が少ないことも大きなメリットだと考えられているのです。


温室効果ガスは地球温暖化の原因となり、深刻な気候変動を引き起こします。


家畜の中でも、特に牛は多くの餌を食べ、育てるのに広大な土地を必要とします。

さらに、牛のゲップに含まれるメタンガスにも地球を温める温室効果があり、全世界で排出されている温室効果ガスの実に4%を占めるとされているのです。


昆虫食は、こうした課題を解決する可能性を秘めているとして、今、大きな関心を集めています。


参考)FAO:Edible insects

農研機構 プレスリリース



昆虫食のデメリット

メリットデメリット


その一方で、昆虫食にはデメリットもあります。


それは、衛生上の問題です。


これまで、多くの国々で昆虫が食べられてきたとはいえ、昆虫食に関する研究はまだ、動物性の食品と同じくらい進んでいるとは言いにくい状況です。

そのため、人体に影響を及ぼす可能性があるかどうかについて、しっかりと研究する必要があるとされています。


同様に、アレルギーなどのリスクがないかどうかも調べる必要があるでしょう。


また、野生の昆虫は病原菌の感染や寄生虫が寄生している可能性があります。農薬散布された農地で育つことで、農薬や化学物質を体内に蓄積し、摂取することで健康被害を引き起こす可能性もあります。



昆虫食を開発している日本企業

手の上に木を持っている


日本には、すでに独自の昆虫食を開発、販売している企業があります。


その1社が、徳島県に本社を置くグリラス

食用コオロギを一貫して育て、品質管理を徹底しています。


グリラスは、食用コオロギを使ったさまざまな加工食品を販売しています。

例えば、コオロギパウダーの入ったチョコクランチやカレー、パンなどです。

どれも一見すると、普通の美味しそうな食品ばかりです。


インターネットでも購入できますので、気になった方はぜひ覗いてみてください。


参考)株式会社グリラス グリラス オンライン


また、TAKEO株式会社もユニークなオリジナルの昆虫食を販売しています。


例えば、タガメエキスを配合した「タガメサイダー」や日本各地の「国産昆虫シリーズ」などです。


参考)昆虫食のTAKEO


この2社に共通していることは、昆虫の可能性に着目し、環境にやさしい食のあり方を模索していることです。


地球環境に負担をかけずに、人も虫も地球も持続可能であるように新たな探求を始めているスタートアップなのです。



最後に

食卓


昆虫食と聞くと、つい「ゲテモノ」と感じてしまう方もいるでしょう。


しかし、昆虫には高い栄養価と環境にやさしいという大きな特徴から、世界的に注目されているということがおわかりいただけたでしょうか。


それに、日本は昔から昆虫食に慣れ親しんできた土壌もあります。


近い将来には、昆虫食がより一般的になり、多くの人がさまざまな食品を楽しむようになっているかもしれません。


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この記事を書いた人

サステナブルライター 山下

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。