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飲食店での食べ残しをお持ち帰り=「mottECOする」 で食品ロスを減らそう!

公開日: 更新日:2023.12.22
飲食店での食べ残しをお持ち帰り=「mottECOする」 で食品ロスを減らそう!


こんにちは、サステナブルライターの山下です。


最近は、少しずつ出かける機会が増え、外食を再び楽しむことができるようになってきたという方も多いのではないでしょうか。

少しずつ、以前の日常が戻ってきたように感じられ、嬉しく思います。


ですが、食品ロスの視点で考えると、外食のときに気になるのが、そう、食べ残しです。


食べ残さないように気をつけて注文しても、量が予想外に多かったり、思うように食べ進められなかったりして、どうしても食べきれなかったという経験のある方も多いことでしょう。


今回は、そんな食べ残しを自己責任でお持ち帰りするアクションを推進する取り組みについてご紹介します。



お持ち帰り用の容器ドギーバッグとは?


レストランやホテルで出され、余った食事を持ち帰る容器や袋といえば、「ドギーバッグ」が知られています。


ドギーバッグは、もともと米国などで一般的な文化だとされ、パーティやレストランなどで余ってしまった食べ残しを「ワンちゃんのために持って帰る」と言って自宅に持ち帰り、後で美味しくいただいていたのが起源だとされています。

どうやら「ワンちゃんのため」というのは、お店の方に持ち帰りたいと申し出る恥ずかしさを隠すための言い訳だったようです。


しかし、現在は、このドギーバッグの文化がしっかりと根付き、出された食事を持ち帰るのは“恥ずかしいこと”ではなく食品ロスを減らすための取り組みだと広く知られるようになっているのではないでしょうか。



食べ残しを「mottECOする」と言いやすい文化に

袋を手渡す人


お店の方に余った料理を持ち帰るというのに抵抗があるのは、日本でも同じ。

そこで、こうした持ち帰るという行動そのものに親しみやすい名前をつけることで、多くの方々が持ち帰りやすいようなムードを高めようという取り組みが始まっています。


このアクションは環境省を中心に行われていて、飲食店での食べ残しをお持ち帰りするという行為は、アイディアコンテストによって「mottECO(モッテコ)」と名付けられました。

「mottECO」のネーミングには、“もっとエコ”と“持って帰ろう”という2つのメッセージが込められているのです。


『mottECO』のロゴマーク

(『mottECO』のロゴマーク。出典:環境省


食べ残しを持ち帰ると、美味しくて笑顔、無駄が無くて笑顔、自分もエコに貢献できたことに笑顔、と、人々が笑顔になることを表現した」という「mottECO」のロゴマーク。

バッグの持ち手とにっこり笑った口元が矢印で表現され、食べ残した料理が食品ロスになるのではなく、循環を生み出すことを示しているようにも見えます。


こうして、食べ残しを持ち帰るというアクションがより身近なものになれば、「食べきれないからmottECO(モッテコ)してもいいですか」や「残りはmottECOさせてもらいますね」といったお店の方への声かけも、今よりずっとハードルの低いものになるかもしれませんね。


(参考:環境省_食べ残しの持ち帰り行為「mottECO」のロゴができました!



ファミレス大手が「mottECOモデル事業」を開始

mottECO専用の容器

(mottECO専用の容器。持続可能性を担保した紙でできているとのこと。出典:株式会社セブン&アイ・フードシステムズ)


この「mottECO」は、まだ始まったばかりですが、まもなくモデル事業がスタートするとみられます。

5月末には、環境省が「mottECO導入モデル事業」として2件を採択しました。


大手ファミリーレストランのデニーズなどを展開するセブン&アイ・フードシステムズが、同じく大手のロイヤルホストらとパートナーシップを結び、専用の持ち帰り容器を開発したり、教育機関や自治体などへ啓発したりする事業などが採択されています。


実は、今回のモデル事業より前から、セブン&アイ・フードシステムズは食品ロスの削減に取り組んできました。


厨房で出てしまう食品ロスの削減に取り組むほか、お客さんに提供するメニューを食べきりサイズにするなどの工夫によって、「5年間で3割の食品廃棄量を削減」できたとのことです。


さらに、2021年10月から東京都内の100店舗で「mottECO」の容器を導入したところ、「開始前と比べて3倍ほどの食べ残し廃棄の削減を達成」したといいます。


「mottECO」のアクションが食品ロスを減らすのに効果的であることがよくわかります。


同社は2022年度、全店舗で「mottECO」を導入し、食べ残しを持ち帰る文化を根付かせていきたいとしています。


大手ファミリーレストランが取り組むことで、より多くの飲食店にmottECO」のアクションが拡大するよう期待されます。


(参考:セブン&アイ・フードシステムズ:食べ残しを持ち帰る「mottECO(モッテコ)」で食品ロスの削減を目指す



2020年度の食品ロス発生量は依然として多く

ゴミ箱に果物の皮を捨てている


さて、環境省は6月9日、令和2年度(2020年度)の食品ロス発生量の推計値を発表しました。


それによると、2020年度の食品ロスの発生量は約522万トンでした。

内訳は、事業系が275万トン、家庭系が247万トン

前年度に比べると、事業系で約11%、家庭系で約5%減少しています。


事業系よりも家庭系の減少割合が少ないのは、新型コロナの影響で、自宅で食事をとる人が増えたことによるものかもしれません。


食品ロスの発生量はここ5年間、少しずつですが、毎年減っています。

しかし、依然として大量の食品が無駄になっていることには変わりなく、食品ロスのさらなる削減が強く求められます。


食品ロスの発生量グラフ

出典)環境省:我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和2年度)の公表について



食品ロスの削減をもっと身近な文化に

SDGsの表

出典)SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン | 国連広報センター


食品ロスの削減に関しては、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)のターゲットの1つに、2030年までに世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させることが盛り込まれています。


だからというわけではありませんが、大切な食べ物の多くを無駄にしているという状況を私たちはしっかりと認識しなりません。


飲食店での食べ残しを持ち帰るアクション「mottECO」は、もちろん、衛生面に配慮するなど自己責任で行うものですが、こうした食品ロス削減の取り組みがより浸透して、多くの方々が気兼ねなくお持ち帰りできるような文化が根付くといいなと思います。



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この記事を書いた人

サステナブルライター 山下

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。