(画像 https://unsplash.com/@fx24)
初めまして。大学生インターンの西村です!
大学では獣医学を学んでいます。
獣医学は「動物のお医者さん」だけではなく、
実は、食、人の健康、環境とも関わりの深い分野なんですよ。
気候変動や海洋汚染、食料問題など
地球の将来に関わる問題に興味があり勉強しています。
学んだことを皆さんとひとつずつ
シェアしていきたいと思いますので、よろしくお願いします!
海の魚が減っている
という話を本やニュースで聞いたことはありますか?
具体的にはどれくらい減っているのでしょうか。
ちょっと予想してみましょうか。
海の中のことはよく見えないので、イメージしづらいですね。
実は、海には50年前と比べて半分しか魚がいません!
WWFによると、1970年から2012年までの間に、
世界全体でなんと約50%の海洋生物がいなくなってしまったそうです。
( Living Blue Planet report|WWF)
さらに、マグロやカジキといった大きな肉食の魚の場合、
事態はもっと深刻です。
すでに本来の数の10%以下まで減少していると推定されています。
(Rapid Worldwide Depletion of Predatory Fish Communities)
庶民の魚、「さんま」も手が届かない高級魚になるかもしれません。
サンマの水揚げ量は2008年以降ものすごい勢いで減少しています。
つい先日、2021年2月25日には、
サンマの歴史的不漁が続いていることを受けて、
サンマの漁獲量を40%削減することが、
日本を含めた8カ国間で取り決められました。
(日本経済新聞『サンマ漁獲枠、40%削減で合意 日中など8カ国・地域』)
以前はどれくらい魚がいたの?
データとしては残っていなくても、
昔の人たちが残した日記や絵から、
当時の様子を垣間見ることができます。
例えばマグロ。
江戸時代には陸のそばで、大量のマグロをとることができたそうで、
その様子を描いた絵も残されています。
( 山梨県立博物館 -Yamanashi Prefectural Museum-)
今ではマグロといえば、遠くの海まで船を出してとる魚であり、
この絵のような様子は想像もできません。
現在、太平洋クロマグロは、過剰漁業(とりすぎ)により数を減らし、
漁業が始まる前の2.6%まで減少した『枯渇状態』と指摘されています。
(より強固なマグロ漁業の監視・管理体制の構築を 2017年WCPFC会合 | WWFジャパン)
他にもタラ。
北大西洋にすむタイセイヨウダラは、
かつて最も数の多い生物のひとつでした。
1497年に現在のカナダにやってきた探検家ジョン・カボットは
「あまりにもたくさんのタラがいて、
バケツを沈めるだけですくうことができた」と書いています。
タラは一大産業になり、たくさんの国々がタラをとり続けた結果、
「船を阻むほど」いたタラは今では1%以下になってしまいました。
(Carved Cod-in-a-Coffin | National Museum of American History)
これらの記録から、かつての海には私たちが想像するよりも、
ずっと多くの魚が生息していたことがわかります。
私たちは、海が本来どのような姿をしていたのか、
もう忘れてしまっています。
今私たちが見ているのは
「すでに魚が消えた」海だということを、
少し気に留めておく必要があるかもしれません。
魚がいなくなると何が問題なの?
ひとつには人の生活への直接的な影響。
全世界で、約33億人の人が蛋白源の20%を魚に頼っています。
栄養を魚に頼っている割合は、
先進国より発展途上国の方が大きいです。
また、漁業が立ち行かなくなれば、
そこに携わる人は収入を失います。
魚がいなくなることは、
食料問題や貧困問題そのものなのです。
(FAO. 2020. FAO yearbook. Fishery and Aquaculture Statistics 2018 http://www.fao.org/documents/card/en/c/cb1213t)
もうひとつは生態系への影響。
魚が減れば、魚を食べて生きているイルカや海鳥、
アザラシなども数を減らします。
逆に、クラゲやプランクトンといった、
魚に食べられることでちょうど良い数を保っていた生き物は
大発生してしまいます。
魚がいなくなることで、自然のバランスが大きく崩れる可能性があります。
それに、こういった問題を差し引いたとしても、
豊かな海が存在し続けることは、それだけでとても意味がある
ことだと私は思います。
私は海が好きで、夏には必ず海水浴に行きます。
海では魚や他の生き物を探して遊びます。
もし、私が見る海の生き物が、本当は2倍3倍、
もしかするともっといたかもしれないと思うと、
それはどれだけ賑やかで楽しい景色だっただろうと想像します。
逆にもし将来、慣れ親しんできた魚を食べることができなくなり、
海に魚の姿を見つけられくなる時が来るとしたら、とても悲しいです。
私たちができることは?
まずは、環境への負荷の少ない水産物を選ぶところから始めてみましょう!
1.MSC、ASC認証の水産物を買う
(画像 https://www.wwf.or.jp/corp/info/77.html)
MSC、ASC認証は持続可能な漁業及び養殖業に与えられる認証です。
認証水産物を選ぶことでより環境への負荷が少ない
水産物を選ぶことができます。
この認証については以前に、
ロスゼロのブログでも取り上げているので、
ぜひ読んでみてください!
(これからもずっと魚を食べていける海に!「サステナブル・シーフード」のお話)
2.おさかなハンドブックを活用する
「おさかなハンドブック」は、
海の環境問題や魚の状況を日本の消費者に知ってもらうために、
WWFが作成したものです。
日本人にとって馴染み深い、
マグロ、アジ、タイなど23種の魚種ごとに、
漁法や資源状況がわかりやすくまとめてあります。
買い物の際に「おさかなハンドブック」を参考にして、
数の少ない魚を避けるなどの選択をすることができます。
(「おさかなハンドブック」消費者の視点で海のサステナビリティを考える|WWFジャパン)
3.人に伝える
今はもう魚が本来の数の半分しかいないということ、
でも今ならまだ、私たちの行動によって
豊かな海を残すことができるということ、
ぜひ家族や友達に伝えてください。
魚は私たちが思っている以上に数を減らしています。
あまり知られていないですが、残念なことにこれは事実です。
でも皆が適切な行動をいますぐ選択すれば、
私たちは将来もおさかなを美味しく食べ続けることができ、
生き物を育む海は存在し続けることができます。
できる限りのことを、まずは手の届く範囲からぜひやってみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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ロスゼロは、食品加工メーカーで様々な原因によって発生する
食品ロス予備軍を直接消費者や企業につなげ
食品ロス(フードロス)の削減を目指す通販サイトです。
日本に溢れる「もったいない」を
ネット通販を通じ、より気軽に、よりポジティブに削減し、
次の笑顔へつなげる取り組みを行っています。
また、ロスゼロはSDGs12番「つくる責任・つかう責任」を
メインとして取り組んでいます。
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投稿者プロフィール
- 獣医学を学ぶ大学院生インターンの西村です。学びを活かし、専門性のある情報をお届けします。
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