みなさん、はじめまして。
東京の大学に通っている大学生インターンの高井です。
大学では主にフランス文化について学んでいます。
横浜で開催されていたロスゼロストアに偶然訪れたことをきっかけに
ロスゼロの存在を知り、インターン活動をはじめました。
ずっと「食」に関心をもっていたので、
これを機にあらゆる角度から食について触れていきたいと思います。
今回は、野生鳥獣の被害の実態と
ジビエを使った取り組みについてお話していきたいと思います。
野生鳥獣による農作物被害の拡大
近年日本ではシカやイノシシなどの野生鳥獣が増えすぎてしまい、
農地や森林を荒らして問題になっているのはご存知ですか?
平成30年度の農作物の被害額は158億。
農作物の被害が増えると、農業への意欲が低下していまい、
やめたいと思う農家さんが増え、耕作放棄地が増えてしまう。
という可能性もはらんでいます。
被害は農作物だけに収まらず、
車両と衝突して事故を引き起こしたり、
住宅に侵入してくることもあります。
近頃は被害を事前に食い止めようと捕獲数が増えています。
捕獲するためには人材の確保も必要です。
そして捕獲したシカやイノシシを破棄するにも
莫大なお金と労力がかかってしまうのです。
シカ一頭を焼却処分するためには1万~2万円かかってしまうそうです。
ニホンジカ被害の現状を知ろう | 小諸 Shika-Kuruwa Project | 長野県小諸市 (komoro-premium.jp)
野生鳥獣をどうするのかというのは地域課題の一つなのです。
それではこの野生鳥獣をうまく活用できないのでしょうか。
ジビエ振興
皆さん、“ジビエ”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
“ジビエ”とはフランス語で食材となる野生のイノシシ肉やシカ肉のことです。
日本ではこの2つが有名ですが、
でも実はその他にも、野ウサギをはじめ、熊、
山鳩、真鴨、小鴨、尾長鴨、
カルガモ、キジ、コジュケイ、最近話題のカラス、
またフランスでは狩猟禁止で貴重なタシギ等の鳥類や、
ヌートリア、ハクビシン、といった珍しい動物も含まれます。
今、この厄介な野生の動物たちを
ジビエとして利用し地域の資源として
活用しようという動きが活発になっています。
では活用とは一体どのようなことを指すのでしょう。
観光業や外食産業での利用
旅先のホテルや民宿で地産地消メニューのとして提供したり、
レストランでジビエ料理を導入してもらったりすることです。
フランス料理などで高級食材として利用されることもあれば、
カレーにシカ肉を使うという取り組みをしているところもあります。
小売り
缶詰などの加工品にして手にとってもらいやすくします。
また、ペットフードへの使用もそのひとつです。
このようにしてジビエ活用する動きが盛んになってきています。
ジビエの課題
ジビエを推進するには、
安定的に供給できること、
そして需要があること。
このバランスが課題になってきます。
そこで農林水産省は捕獲地域周辺に
処理加工施設を整備するための交付金を出して
ジビエ活用に向けて支援しています。
ジビエの処理・加工施設を増やしても
お客さんが買ってくれなければ意味がありませんよね。
そこで様々なPR活動を行っています。
第1回ジビエ料理コンテスト入賞レシピ紹介 (gibier.or.jp)
農林水産省主催で、料理コンテストを実施。
また、あらゆるレシピも紹介しています。
和歌山県では、学校給食に取り入れています。
地域名をつけるなどしてブランド化したりしているそうです。
そうすることで、ジビエが身近に感じられるようになりますね。
ジビエ認証制度
農林水産省によって捕獲した野生のシカとイノシシを処理する食肉処理施設の認証を行う
「国産ジビエ認証制度」が制定されました。
これは厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」
を遵守して適切に処理を行っていることや
捕獲から出荷されるまでの工程や衛生管理方法など、
製品の履歴が確認できることやで、
安心・安全なジビエを提供できるようにしています。
国産ジビエ認証マーク
認証制度があれば消費者も商品を選ぶ際の基準ができますね。
これからのジビエ
農林水産省はジビエ利用量を
令和元年度の水準から令和7年度まで に
倍増(4千トン)させることを目標としています。
皆さんも今後、ジビエと出会う機会が増えて来るかも知れません。
私は北海道でシカ肉を食べたことがありますが、
さっぱりとして食べやすかったですよ。
そしてこのジビエ肉の推進は
食料自給率の低い日本にとっては
一つの糸口になる可能性があります。
農林水産省によると令和元年度、
カロリーベースでの牛肉の食料自給率は11%、豚肉は6%です。
出典 農林水産省 『令和元年度食料自給率について』
カロリーベースというのは家畜のエサの自給率も反映されています。
家畜に与える飼料の多くは外国産に頼っているのが現状です。
運送時に排出される二酸化炭素や
エサとなる穀物を育てる時に必要な水などを考えると
食料自給率が低いと地球に負担をかけてしまっているのです。
しかしジビエは野生の動物を捕獲しているため、
私たちが普段口にしている豚肉や牛肉などと違い飼育させていません。
つまり、彼らが食べているのはそこら辺に生えているもの。
そのため飼料自給率は100%ということになりますよね。
牛肉や豚肉の代わりに、
増えすぎて困っているジビエを食べるようにすれば
地域課題の解決に繋がるだけでなく、環境への配慮にもなります。
「自然からのめぐみ」を廃棄するのではなく、おいしくいただくこと。
これは食品ロスを減らすという考えと同じなのではないでしょうか。
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ロスゼロは、食品加工メーカーで様々な原因によって発生する
食品ロス予備軍を直接消費者や企業につなげ
食品ロス(フードロス)の削減を目指す通販サイトです。
日本に溢れる「もったいない」を
ネット通販を通じ、より気軽に、よりポジティブに削減し、
次の笑顔へつなげる取り組みを行っています。
また、ロスゼロはSDGs12番「つくる責任・つかう責任」を
メインとして取り組んでいます。
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