ロスゼロブログ

カテゴリ一覧

食品ロスの原因と発生割合について

公開日: 更新日:2023.12.22
食品ロスの原因と発生割合について



食品ロス、一見すると日常の些細な問題に思えますが、実は深刻な環境問題の一因です。

このブログでは、食品ロスの発生原因とその影響、さらには削減法やSDGsの目標といった公的取り組みから、私たちができる冷蔵庫の活用方法まで、幅広く深掘りします。

食品ロスを減らすための一歩、それは理解から始まります。

 

食品ロスと環境問題の関係

日本の食品ロスの割合

食品ロスの全体的な規模とデータ

食品ロスは、世界的に見ても深刻な問題であり、毎年13億トンの食品が無駄に捨てられていると言われています。

これは世界の食料生産量の約30%に相当し、経済的損失だけでなく、環境への影響も大きいです。

日本でも年間約523万トンの食品ロスが発生しており、その内53%が事業系食品ロス47%が家庭系食品ロスが占めています。

食品ロスがもたらす環境問題には、地球温暖化や水資源の浪費、土地利用の効率低下が挙げられます。

また、食品ロスは先進国だけでなく、途上国でも大きな問題となっており、食糧問題や貧困問題にも繋がっています。

 

社会的課題としての食品ロス

食品ロスは、環境問題だけでなく、社会的な課題としても捉えられます。

食料不足に苦しむ人々が世界中に存在する中で、食品ロスが大量に発生していることは、道義的にも受け入れがたい事態です。

さらに、食品ロスによる経済的損失は、農家や生産者、流通業者など幅広い業界に影響を与えます。

そのため、食品ロス削減の取り組みは、持続可能な社会の実現に向けて重要な要素であると言えます。

 

家庭内での食品ロス発生率とその要因

家庭内での食品ロスは、食品ロス全体の約50%を占めており、その要因としては賞味期限の誤解や食材の管理方法、調理過程でのムダなどが挙げられます。

賞味期限はあくまで品質保証期間であり、期限を過ぎても食べられなくなるわけではありませんが、多くの消費者がこれを理解していないことが問題です。

また、食材の適切な保管や調理方法を知らないことも、食品ロスの一因となっています。

こうした要因を解決することが、家庭内での食品ロス削減に繋がると考えられます。

 

食材の過剰購入と食べ残し

食べ残した野菜とハンバーガー

賞味期限・消費期限に関する認識

賞味期限や消費期限の認識の誤りは、食品ロスの大きな要因のひとつです。

賞味期限は品質保証期間を示すものであり、期限が過ぎても必ずしも食品が腐ってしまうわけではありません。

消費期限は食品安全性に関する期間であり、期限後は食べることが推奨されません。

しかし、多くの人々はこの違いを理解していないため、賞味期限を過ぎた食品も安全性に問題があると誤解し、廃棄してしまいます。

このような認識の改善が食品ロス削減に繋がるでしょう。

 

保存方法と食品ロスの関連性

食品の適切な保存方法を知らず、食品が腐敗したり品質が低下したりすることも、食品ロスに繋がります。

例えば、野菜や果物は種類によって適した保存温度や湿度が異なり、正しい方法で保存することで食品の寿命が延びることがあります。

また、冷蔵庫内の適切な温度管理や、加工食品の開封後の保存方法にも注意が必要です。

消費者が適切な保存方法を身につけることが、食品ロス削減に貢献します。

 

スーパーマーケットにおける食品ロスの原因

スーパーマーケットでは、消費者の鮮度への要求や過剰な在庫管理が食品ロスを引き起こす原因となっています。

鮮度を求める消費者のニーズに応えるため、スーパーマーケットは商品の品揃えを豊富にし、短い賞味期限や消費期限の商品が廃棄されることが多くなります。

また、売れ残りや見た目の悪い商品が廃棄されることもあります。

スーパーマーケットが在庫管理や陳列方法を見直すことで、食品ロス削減が期待できます。

 

規格外野菜の廃棄問題

規格外の人参

食品表示と消費者の認識

規格外野菜に関する食品ロスの問題は、消費者の認識と食品表示に大きく関連しています。

規格外野菜は、形や大きさが基準に合わないため、流通や販売されにくいとされます。

しかし、規格外であっても栄養価や味には差がないことが多いです。

消費者が規格外野菜の価値を理解し、選択肢に加えることで、廃棄される野菜の量を減らすことができます。

また、食品表示の工夫や情報発信によって、規格外野菜の魅力を伝えることが重要です。

 

販売期間と品質のバランス

規格外野菜の廃棄問題を解決するためには、販売期間と品質のバランスを適切に取ることが求められます。

規格外野菜は鮮度が落ちやすいとされるため、流通や販売のスピードを上げることが重要です。

また、新鮮な状態で消費者に届けるために、地産地消の取り組みや短距離流通の促進が求められます。

これにより、規格外野菜の魅力を伝えながら、品質の良い状態で消費者に提供することが可能になります。

 

飲食業界における食品ロス削減の取り組み

飲食業界では、規格外野菜の利用を通じた食品ロス削減の取り組みが進められています。

一部のレストランやカフェでは、規格外野菜を使用したメニューやフードロスを減らすための割引サービスが提供されています。

また、フードバンクと連携して、規格外野菜を活用した食事を提供する取り組みも広がっています。

飲食業界が規格外野菜の利用を促進することで、食品ロス削減に大きく貢献できると考えられます。

 

メニューサイズの工夫と活用

料理を食べる分とっている

フードバンクへの食品提供

フードバンクは、食品ロス削減に大きく貢献する存在です。

食品企業やスーパーマーケット、レストランなどから提供された未使用の食品を受け取り、経済的に困難な状況にある人々や福祉施設に無償で提供しています。

このような取り組みによって、食品ロスが社会貢献に繋がるだけでなく、食品廃棄に伴う環境負荷の軽減も期待できます。

企業や個人が積極的にフードバンクへの提供を行うことで、食品ロス問題の解決が進むでしょう。

 

消費者との連携による注文改善

メニューサイズの工夫と活用によって、消費者と連携し食品ロス削減が可能です。

例えば、レストランやファーストフード店がメニューに小盛りや大盛りの選択肢を設けることで、消費者が自分に適した量を選べるようになり、食べ残しを減らすことができます。

また、食材を選べるビュッフェ形式のレストランでは、消費者に適量を取ることを呼びかけることで、食品ロスを抑制することが期待できます。

 

農業分野における食品ロスとその対策

農業分野では、収穫後の取り扱いや流通過程での損傷による食品ロスが発生しています。

これに対処するためには、収穫方法の改善や適切な保管技術の導入が求められます。

また、規格外野菜の活用を促すために、農家と消費者が直接つながる仕組みを作ることも有効です。

例えば、地元の農産物を取り扱う直売所や、農家と消費者がオンラインで繋がるプラットフォームなどが、食品ロス削減に貢献するでしょう。

 

農林水産省の取り組みと目標

手をつないでいる

地域連携による食品ロス削減

地域連携による食品ロス削減は、農林水産省が推進する重要な取り組みです。

地元の農家や漁師、流通業者、消費者が一体となって食品ロスの発生を抑えることを目指しています。

地域の特性やニーズに合わせた取り組みを展開し、地産地消を推進することで、食品ロスが削減されるとともに、地域経済の活性化にも寄与します。

また、学校や地域イベントでの食品ロス削減を啓発する活動も、地域連携の一環として行われています。

 

規格外野菜の活用方法

農林水産省は、規格外野菜の活用を促進するための取り組みを行っています。

規格外野菜を積極的に使用するレストランや企業に対して、情報発信や助成金を提供することで、市場での規格外野菜の需要を高める狙いがあります。

また、消費者に対しては、規格外野菜の魅力や利用方法を伝える啓発活動を実施し、消費者の意識改革を図っています。

これらの取り組みにより、規格外野菜の無駄が減り、食品ロス削減につながることが期待されます。

 

食品ロス削減に向けた法律・制度

食品ロス削減に向けた法律・制度の整備も、農林水産省が重視している分野です。

例えば、食品ロス削減を促進するための法律が制定され、企業や自治体に対して食品ロス削減の取り組みが義務付けられています。

また、規格外野菜の販売やフードバンクへの提供に関する税制優遇措置も導入されており、食品ロス削減に寄与する事業者に対してインセンティブが提供されています。

これらの制度を通じて、食品ロス削減が全国的に推進されることが期待されています。

 

令和2年度の食品ロス削減法

削減

消費者庁と環境省の推進活動

令和2年度の食品ロス削減法を受けて、消費者庁と環境省は食品ロス削減に向けた様々な活動を推進しています。

消費者庁は、消費者の意識改革を図るために、賞味期限や消費期限に関する情報提供を行い、適切な食品の取り扱いや購入方法を啓発しています。

一方、環境省は、地域の環境負荷を軽減するために、食品ロス削減の取り組みを支援しています。

これらの活動によって、食品ロス削減法の目的が実現されることが期待されています。

 

企業や自治体への支援策

企業や自治体に対しては、食品ロス削減に向けた様々な支援策が提供されています。

例えば、フードバンクへの食品提供や規格外野菜の活用を促進するための助成金や税制優遇措置が導入されています。

また、食品ロス削減に取り組む企業や自治体に対しては、情報提供や技術支援、ノウハウの共有を行うことで、より効果的な取り組みが展開されるようにサポートしています。

 

食品ロスに関する国際的な取り組み

食品ロス削減法は、国内の取り組みだけでなく、国際的な取り組みにも影響を与えています。

日本政府は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標12.3に取り組むため、他国と協力して食品ロス削減を推進しています。

また、アジア太平洋地域における食品ロス削減の取り組みを支援するため、技術協力や人材育成を行っています。

これらの国際的な取り組みによって、食品ロス削減が世界的な課題として取り組まれることが期待されています。

 

SDGs目標12.3と食品ロス

フードバンク

先進国における食品ロス対策

先進国では、食品ロス削減に向けた様々な取り組みが行われています。

例えば、欧州では、食品廃棄物の削減や再利用を促すための法規制が整備されており、企業や個人に対して責任を求める動きがあります。

また、アメリカでは、フードバンクへの食品提供を推進するための税制優遇策が導入されています。

先進国の取り組みは、日本の食品ロス削減法の策定や施行にも影響を与えており、国際的な協力によって食品ロスの削減が進められています。

 

食料自給率と食品ロスの関連性

食料自給率は、国内で生産された食料によってどれだけ国民の食料需要を賄えるかを示す指標であり、食品ロスと密接に関連しています。

食品ロスが削減されることで、食料自給率が向上し、国内の食料安定供給に寄与します。

逆に、食品ロスが多く発生すると、食料自給率が低下し、輸入に頼る度合いが高まります。

したがって、食品ロス削減は、食料自給率向上や持続可能な食料供給の観点からも重要であると言えます。

 

個人ができる食品ロス削減の実践方法

個人ができる食品ロス削減の実践方法には、様々なアプローチがあります。

まず、賞味期限や消費期限を意識して、適切な量の食品を購入することが重要です。

また、食品の保存方法を工夫し、腐敗や劣化を防ぐことも効果的です。

食べ残しを減らすために、適切なポーションで料理を提供するレストランを利用することや、自宅での調理時に量を調整することも役立ちます。

さらに、規格外野菜を積極的に購入し、地域のフードバンク活動に参加することも、食品ロス削減に貢献できます。

 

冷蔵庫の適切な管理と活用

野菜スープ

無駄のない料理レシピの紹介

無駄のない料理レシピとは、食材の余りや調理過程で発生する廃棄物を最小限に抑える工夫がされているレシピです。

例えば、野菜の皮や茎を活用したスープや、パンの耳を使ったオーブントーストなど、廃棄されがちな食材を活用した料理があります。

また、一度に大量に調理せず、適量を作ることで、食べ残しを防ぐことができます。

インターネットや料理本を参考に、無駄のない料理レシピを積極的に取り入れることで、食品ロス削減に貢献できます。

 

冷蔵庫の適切な整理整頓と管理方法

冷蔵庫の適切な整理整頓と管理方法は、食品ロス削減に大きく寄与します。

まず、冷蔵庫内を定期的に整理し、賞味期限が近い食品や消費期限が迫っている食品を優先的に使用するようにしましょう。

また、冷蔵庫内の温度管理も重要です。一般的には、冷蔵庫の温度は4℃前後、冷凍庫の温度は-18℃前後が適切とされています。

適切な温度管理を行うことで、食品の鮮度を保ち、劣化や腐敗を防ぐことができます。

 

買い物時の注意点と食品選び

買い物時に食品ロスを削減するための注意点として、まず家庭内の在庫を把握し、必要なものだけを購入することが大切です。

また、賞味期限や消費期限を確認し、適切な期間内に消費できる食品を選ぶことも重要です。

さらに、規格外野菜や訳あり品を積極的に購入することで、食品ロス削減に貢献できます。

買い物時にこうした注意点を意識することで、家庭内の食品ロスを軽減し、持続可能な食生活を実現できます。

 


食品ロスがなくならない原因はたくさんあり、複雑な問題です。
しかし、食品ロスの問題は私たち一人一人の手で改善できるものです。

食べ物の価値を再認識し、持続可能な生活のための選択をし続けることで、私たちは確実により良い未来へと近づいていきます。

 

 

 

 

ロスゼロブログ一覧へ

この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。