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『生物とSDGs1』生き物をマネすることで進む社会

公開日: 更新日:2023.06.21
『生物とSDGs1』生き物をマネすることで進む社会

こんにちは、進です。

現在は京都の大学に通っており、生物学について学んでいます。

よろしくお願いします。

 

世界が直面している大きな問題の一つに環境問題があります。

無駄のない持続可能な社会を目指すうえで、革新的な技術が日々研究、開発されています。

 

そこで、皆さんはバイオミメティクスという言葉をご存じでしょうか。

この言葉自体は聞いたことがないという方も多いかと思います。

 

バイオミメティクスとは

 

日本語にすると「生物模倣」といわれる技術のことで、簡単に言えば

自然界の生物の構造をヒントにして技術を生み出そう

というものです。

 

地球上に存在する生物の多様性はすさまじく、現在では175万種が確認されていますが、実際にはこれの数倍もの生物がいると考えられています。

この中から、何か人間社会に役立つ機能はないか、と日々研究が進んだ結果、今わたしたちの身の回りにはたくさんのバイオミメティクスであふれています。

 

そこで、今回は身近な例をいくつか紹介したいと思います。

 

ヤモリテープ

ヤモリの足の裏

まず紹介するのはヤモリの足を参考につくられたテープです。

 

みなさんはヤモリを見たときに、どうやって壁に張り付いているのか疑問に思ったことはないでしょうか。

別に手に吸盤がついているわけでもありませんし。

 

その秘密は実はヤモリの足の裏にあります。

ヤモリの足の裏には細かな毛が生えており、さらにその毛の先端ひとつひとつが100〜1000本に枝分かれしています。

この密度は1㎡あたりなんと数十億本にもなり、人の髪の毛の100倍以上の密度になります。

 

この細かい毛が壁などに近づいたときに、ファンデルワールス力という力がはたらき、壁にくっつく事ができるのです。

 

※ファンデルワールス力について詳しくは→こちら

(引用:世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ ヤモリの指のひみつ①

 

これに注目してテープに応用しようと考え生まれたのがヤモリテープです。

細かなカーボンナノチューブをヤモリ以上の密度で並べることで、なんと1㎠あたり500gもの重さに耐えられるテープの開発に成功しました。

こうして、剥がしてもベタベタせず、何度も利用できるテープが開発されました。

開発当初はテープの製造過程が複雑なため、生産にコストがかかることが課題でしたが、現在では量産技術が向上し一般販売もされているようです。

 

(参考:日本経済新聞 「ヤモリの足」から生まれた最先端のテープ

 

痛くない注射器

次に紹介するのは注射器についてです。

 

皆さんは蚊に刺されたことはありますでしょうか。

刺されたことがないなんて人はいないですよね。

では、蚊に刺されたときに痛みを感じたことはあるでしょうか。

蚊はストローのような針を刺して血を吸うのに、蚊に刺されたときは不思議と痛みはありません。

 

これはいったいどうしてなのでしょうか。

 

人の皮膚には痛点という痛みを感じる部分があり、ここが刺激されると痛みを感じますが、蚊の血を吸う部分は細く痛点に当たらないため、痛みを感じないのです。

細ければ細いほど痛みは感じませんが、その代わり刺すときに折れそうです。

そこで、蚊は針を刺すときに補助するものも口に持っています。

これらをうまく使うことで痛みを感じさせずに細い針を奥まで刺すことができるのです。

 

※蚊の針を刺す仕組みについて詳しくは→こちら

 

ここに注目して痛みの少ない注射器が開発されました。

痛いのは嫌だと注射が嫌いになる子どもも少なくありませんし、糖尿病の患者さんなどは治療のために1日に何度も注射をしないといけないことから少しでも痛みのない注射器がずっと望まれてきました。

注射のときの痛みなんてないほうが嬉しいですよね。

しかし、この注射器はあくまで血をとるものであり薬を入れたりはできないので、予防接種などでの注射では使うことができません。

残念ですね...。

 

サメ肌水着

最後に紹介するのはサメの体を参考につくられた水着ですが、こちらは耳にしたことがある方も多いんじゃないでしょうか。

この水着は実際に北京オリンピックで競泳用水着として使用され話題となりましたね。

サメのうろこは頭から尾に向かってなぞるとなめらかで、逆に尾からなぞるとザラザラするサメ肌という構造を持っています。

この構造は、サメが泳いだ際に水の抵抗を少なくするということがわかり、その構造を模倣して水着に応用することができると考えられました。

 

サメの肌の拡大

(引用:ZAPZAP! サメの肌、風車や航空機に応用できる可能性

 

こうして実際にレーザー・レーサーという競泳水着が生まれ、販売されました。

北京オリンピックではトップクラスの選手のほとんどが、これを着て試合に臨み、世界記録が相次いで更新されました。

 

しかし、あまりの性能に「この水着を持っていないと話にならない」と物議をかもし、スポーツとして成り立たなくなることが懸念され、2010年以降は使用禁止になってしまいました。

他にもサメのうろこは泳いでいるときの汚れが付着しにくい構造をしていることから、船に応用するという研究も日々進んでいるようです。

 

(参考:ネイチャーテック研究会 サメ肌で速く美しく

 

花にハチが止まっている

 

バイオミメティクスとは、上でも言った通り、自然界における機能を再現し、より効率的な、無駄のない技術を生み出そうというものです。

 

例えば、ヤモリテープが普及すれば、粘着物質の削減や、繰り返し使えることから廃棄物の削減につながる可能性があります。

他にも新しいエネルギー源として注目されているものもあり、その可能性は文字通り無限大です。

 

持続可能な社会を目指して身近なものから環境問題など大きな課題についても幅広く応用できるように、解決の糸口を自然から見つけ出そうと日々研究が進んでいます。

 

 

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この記事を書いた人

現在、京都の大学にて農学を学んでいる。ロスゼロでは主に「自然・環境・生物」に関する記事を担当。趣味は、もっぱら体を動かすこと。暇があればジムで筋トレしている。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。