ロスゼロブログ

カテゴリ一覧

貝殻をリサイクル!自然肥料の作り方ガイド

公開日: 更新日:2023.12.22
貝殻をリサイクル!自然肥料の作り方ガイド

 

毎日の食卓から生まれる「貝殻」。

ほとんどがゴミとして処分されているかもしれませんが、実はこれらの貝殻は豊富なカルシウムを含み、貴重な有機肥料として生まれ変わる可能性を秘めています。

しかし、どうやって家庭で貝殻を肥料に変えるのでしょうか?また、粉砕した貝殻をどのように活用すればいいのでしょうか?

本記事では貝殻肥料のメリット、作り方等について詳しく解説します。

貝殻を自然肥料や鳥のエサとして活用し、サーキュラーエコノミーを実現する手法を一緒に学びましょう。

 

貝殻を利用した自然肥料のメリットと効果

貝殻パウダーの肥料

貝殻肥料が作物にもたらす効果

貝殻肥料が作物にもたらす効果について、まずはじめに、貝殻肥料はカルシウムを豊富に含んでおり、土壌の酸性度を中和する効果があります。このため、土壌の状態が改善され、作物の根が養分を吸収しやすくなります。また、カルシウムは植物の細胞壁を強化し、病害虫からの防御力を高める効果も期待できます。

 

環境にやさしいリサイクル方法

貝殻は海岸や料理で出る廃棄物として一般的に捨てられていますが、それを有効利用することで資源の無駄遣いを防ぎ、海岸の環境保全にも役立ちます。

また、貝殻肥料は化学肥料に比べ、化学物質の影響が少ないため、土壌の微生物の活動を妨げません。これにより、土壌の生態系が保たれ、持続可能な農業が実現できます。

 

安心して使える有機肥料

安心して使える有機肥料としての貝殻肥料は、化学肥料や農薬を使わずに栽培された作物は、消費者にとっても安心感があります。貝殻肥料は天然由来の成分であるため、化学物質によるアレルギーや健康被害のリスクが低減されます。さらに、有機栽培に適した貝殻肥料を使用することで、作物の味や栄養価が向上することが報告されており、消費者にも喜ばれるでしょう。

 

貝殻肥料の作り方

貝殻パウダーの肥料を作ろう

必要な道具と材料の用意

必要な道具と材料の用意について説明します。まず、貝殻肥料を作るためには、乾燥させた貝殻、粉砕器(ハンマーやモルタル)、網やふるい、そして保管容器が必要です。

乾燥させた貝殻は、太陽光で十分に乾かしたものを使用しましょう。また、保管容器は密閉性があるものを選ぶことで、発酵や熟成を効果的に進めることができます。

 

効率的な貝殻の乾燥方法

効率的な貝殻の乾燥方法について説明します。乾燥は、貝殻を肥料にするための重要なステップです。まず、貝殻を水でよく洗い、陽の当たる場所に広げて乾かします。太陽光が直接当たる場所であれば、約1週間で十分に乾燥することが一般的です。雨や湿気の多い日は室内で乾燥させることも検討しましょう。乾燥が十分に進んだ貝殻は、粉砕が容易になり、効率的に肥料を作ることができます。

また、貝殻を鉄鍋にいれてオーブンなどで熱することで、貝殻を乾燥の時短が可能です。しかし、貝殻の破片が飛び散ることがあるので、注意が必要です。

 

適切な粉砕器具の選択

適切な粉砕器具の選択では、家庭で手軽に使用できるものとして、ハンマーやモルタルがおすすめです。ハンマーは、貝殻を袋に入れて叩くことで粉砕できます。

一方、モルタルは、研ぎ潰すようにして貝殻を細かくすることができます。いずれの方法も、適切な力加減が大切です。

 

発酵と熟成の管理方法

発酵と熟成の管理方法では、粉砕した貝殻を保管容器に入れ、湿度と温度を一定に保ちます。湿度は60~70%、温度は20~30℃が適切です。この状態を保つことで、貝殻の分解が促進され、短期間で肥料として利用できるようになります。

また、発酵や熟成が進むと、貝殻の表面に白いカビが発生することがありますが、これは微生物の働きによるもので問題ありません。熟成が進むと、貝殻の色が白から茶褐色に変わり、土のような香りがします。これが完成した貝殻肥料のサインです。

 

作業の注意点と対策

作業の注意点と対策として、粉砕時には飛散する貝殻の破片や粉塵に注意が必要です。目や皮膚への刺激を避けるため、作業時はゴーグルや手袋、マスクを着用しましょう。

また、粉砕作業は音が大きいため、周囲への配慮も忘れずに行いましょう。適切な道具と手順を守ることで、安全かつ効率的に貝殻肥料を作成することができます。

 

貝殻の種類による栄養分の違い 

いろんな貝殻

牡蠣の殻(カキ殻)

カルシウムが多く含まれる。土壌改良や雑草対策に効果的。アルカリ分が低くおだやかな効き目。酸性土壌を中性にして土を柔らかくする。

ホタテの殻

貝の分泌したコンキオリン酸やキチン質が含まれる。チッソの吸収をよくしたり、土中の放線菌等の有効微生物の働きを活発にする。

あさりの殻

カルシウムやマグネシウムが多く含まれる。土壌改良や病害虫防止に効果的。アルカリ分が高く強い効き目。酸性土壌をアルカリ性に傾ける。

 

貝殻肥料の適用範囲:家庭栽培の他、家畜の餌にも

貝殻パウダーの肥料

野菜・果物への活用方法

野菜への活用方法では、貝殻肥料は特にカルシウムを豊富に含むため、カルシウムが必要な野菜に適しています。例えば、野菜だとトマトやナス、ピーマンなどのナス科野菜はカルシウムの吸収が良く、果物はリンゴや桃、柿などが貝殻肥料の恩恵を受けやすいです。また、土壌の酸性度を緩和する効果もあるため、アルカリ性を好む野菜にも適しています。

 

花への活用方法

花にも適用可能な理由として、貝殻肥料は土壌の改良効果があるため、花にも有益です。カルシウムは花の生育に欠かせない栄養素であり、特にバラやクレマチス、チューリップなどのカルシウムを好む花に適しています。

さらに、貝殻肥料は土壌の保水力を向上させるため、花の水分バランスを整える効果も期待できます。これらの理由から、貝殻肥料は野菜や果樹だけでなく、花にも適用可能な自然肥料です。

 

鳥のエサにも使用可

しっかりパウダー状に粉砕されており、清潔な状態の貝殻であれば、ニワトリなどの鳥や爬虫類の餌としても活用することができます。カルシウムは鳥の健康にとって必要不可欠で、特に骨の形成と強化、血液の凝固、筋肉の収縮(これには心臓の動きも含まれます)などに重要な役割を果たします。また、鶏や他の鳥が卵を生む場合、カルシウムは卵殻を形成するために特に必要です。

また、上記と同じ手順で卵の殻も粉砕することでガーデニング肥料や鳥の餌に活用することができます。普段だと廃棄される卵の殻に手を加えることで、サーキュラーエコノミーを実現することができます。

 

適切な貝殻肥料の散布方法とタイミング

貝殻パウダーの肥料

肥料散布の目安とタイミング

肥料散布の目安とタイミングでは、貝殻肥料は植物の生育期に合わせて散布することが重要です。春には新芽が出る前に、夏には果実が大きくなる前に、そして秋には収穫後に施肥すると効果的です。

また、植物の種類や土壌の状態によって散布量を調整し、過剰な施肥を避けることが大切です。

 

土壌への適切な投入方法

土壌への適切な投入方法については、貝殻肥料は表面散布や混ぜ込みのどちらでも効果的です。表面散布の場合、土壌表面に均等に散布し、雨や水やりで徐々に土壌に浸透させます。混ぜ込みの場合、土壌と貝殻肥料を混ぜてから植物を植えるか、植えた後に根元周りに散布し、軽く土をかけます。

 

水分管理の重要性

水分管理の重要性は、貝殻肥料の効果を最大限に引き出すためには、適切な水分管理が不可欠です。土壌が乾燥しすぎると、カルシウムが溶け出しにくくなり、植物への供給が不十分になります。

一方、過剰な水分は根腐れを引き起こす原因となります。適切な水分バランスを保つことで、貝殻肥料の効果を最大限に発揮させることが可能です。

 

貝殻肥料と他の有機肥料との併用効果

貝殻パウダーの肥料

堆肥との相乗効果

堆肥との相乗効果では、貝殻肥料と堆肥を併用することで、さらに良好な肥料効果が期待できます。

貝殻肥料はカルシウムを豊富に含むため、土壌の酸性度を中和する効果があります。堆肥は有機物を豊富に含み、微生物の活動を促進する効果があります。これらを組み合わせることで、土壌のバランスが向上し、植物の生育が促進されます。

 

米ぬかとの併用による効果

米ぬかとの併用による効果において、米ぬかは窒素やリン酸、カリウムなどの栄養素が豊富で、貝殻肥料と併用することで、さらにバランスの良い肥料が作成できます。

また、米ぬかの発酵過程で生じる熱は、貝殻肥料のカルシウムが土壌に溶け出しやすくなるため、相乗効果が生じます。

 

他の有機肥料との比較

他の有機肥料との比較では、貝殻肥料は環境負荷が低く、リサイクルによる資源活用が可能であることが特徴です。また、カルシウムを多く含むため、土壌改良効果も期待できます。

一方、鶏糞や牛糞などの動物性肥料は、窒素やリン酸、カリウムなどの栄養素が豊富ですが、病原菌のリスクがあるため、取り扱いに注意が必要です。それぞれの特性を理解し、適切に併用することで、最適な肥料効果を得られます。

 

貝殻肥料の効果を最大限に引き出すための土壌改良法

貝殻パウダーの肥料

土壌の通気性を向上させる方法

土壌の通気性を向上させる方法として、定期的な耕運や軽石やバーミキュライトなどの通気性を高める資材を混ぜ込むことが効果的です。これにより、土壌内の酸素が増え、根の呼吸がスムーズに行われるため、植物の生育が促進されます。

また、通気性の向上は、貝殻肥料に含まれるカルシウムが効果的に溶け出す環境を整えることにもつながります。

 

微生物活動を促進する対策

微生物活動を促進する対策として、有機物の追加や水分管理が重要です。有機物は、微生物のエサとなり、土壌内での活動を活発化させます。

また、適切な水分管理は、微生物の環境を整えることに役立ちます。湿度が高すぎると、酸素が不足し、逆に乾燥しすぎると微生物が活動できなくなります。適切な水分量を保つことで、微生物が活発に働き、貝殻肥料の効果を最大限に引き出すことができます。

 

適切な温度管理の重要性

適切な温度管理の重要性については、土壌温度が植物の生育や微生物の活動に大きく影響するためです。適切な温度帯で土壌を保つことで、植物の根の活動や土壌中の微生物が活発に働き、貝殻肥料の効果を最大限に引き出せます。

具体的には、保温材を利用したり、日陰や風除けを工夫することで、適切な温度管理が可能です。

 

 

ロスゼロブログ一覧へ

この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。